ブラジル フランチャイズ・ビジネスの財務
- 1. 金融機関による手厚い支援
- 2. フランチャイズ・フィー
- (1) 加盟金(initial franchise fee)
- ①ジオマーケティング・リサーチの提供。
- ②立地情報の提供
- ③初期訓練、マニュアル提供
- ④店舗の基本設計、立地に合わせた修正
- ⑤営業許可等が必要な場合の行政折衝
- ⑥銀行融資をうけるにあたっての各種助言
- ⑦初期マーケティングに関する各種助言
- (2) ロイヤルティ
- (3) 広告費
- 3. 初期投資費用と回収期間
- ①設備投資費用
- ②各種備品・機材(コンピューターを含む)に要する費用
- ③期首在庫購入費用
- ④開店準備費用(従業員の訓練費用等)
- ⑤開業時のマーケティングに関する事項
- ⑥加盟金
- ⑦開店当初の運転資金に関する事項
ブラジルでフランチャイズ・ネットワークが拡大している大きな理由の一つとして、大手金融機関がフランチャイザー/フランチャイジーに対して特別の融資プランを策定し、初期投資を容易にしていることが挙げられる。ブラジルの4大銀行(ブラジル銀行Banco do Brasil、イタウ・ウニバンコItaú Unibanco、バンコ・ブラデスコBanco Bradesco、バンコ・サンタンデール・ブラジルBanco Santander Brasil)をはじめ、ブラジル連邦貯蓄銀行CAIXA ECONÔMICA FEDERALなどの政府系金融機関、プライベートバンクなど、多数の銀行がこれらプランを策定している。
このように、ブラジルでは手許資金が十分ではないフランチャイジー希望者にも広くビジネスチャンスが与えられており、ネットワーク拡大を容易にしている。
加盟金、ロイヤルティ、広告費といった主要なフランチャイズ・フィーの概念は日本と同様である。
ブラジル・フランチャイズ協会(ABF)のウェブサイトでは、ABF加盟フランチャイザーにつき、その平均店舗面積、平均スタッフ数、初期投資費用、加盟料、初期投資費用回収期間、ロイヤルティ、広告料の%などが容易に検索できるようになっており、ブラジル進出を検討するにあたっては大変有益な情報源である。
https://www.portaldofranchising.com.br/
契約にあたって交付され、その後フランチャイズを脱退しても返金されない。契約更新にあたって、更新料として加盟金の50%程度を徴収するフランチャイザーが多い。
フランチャイジーは、加盟金支払によって、商標権利用許可に加え、一般的に、下記のサービスの提供を受けることができる。
加盟金は、イニシャルコストの10〜15%程度に抑制されるのが理想的とされている。
フランチャイジーのロイヤルティは、各フランチャイジーの月総収入に対して4〜6%程度で設定されている。製品や原材料の購入時に金額が確定するタイプのロイヤルティもある。
更に最近では、交渉によって、フランチャイジーに収益が上がり始めるまで(たとえば6ヶ月間など)、ロイヤルティの支払開始が猶予されるケースもある。
各フランチャイジーにおける月総収入の1〜3%程度で設定されている。
Franchise Offering Circular (FOC)では、初期投資に関して、以下の事項(各費目に関する支払時期も含む。)が数量化して説明される。FOCは、出店予定場所及び出店時期を反映したものでなければならない。
初期投資費用の相場は、業種や施設の形態(所有土地建物、自宅、露店、ショッピング・ストアなど)によってさまざまである。下は1,000レアル(約3万8000円相当:1レアル38円換算)から、上は200万レアル(7,600万円相当)程度に達するものまである。マイクロ・フランチャイズ形態は、8万レアル(304万円相当)以下で推移している。
初期投資費用の回収期間は、平均60ヶ月の契約期間に対して、一般的に、18〜36ヶ月といわれている。初期投資費用回収可能性について、フランチャイザーは事前に市場調査を実施し、これをフランチャイジー希望者に提供している。