インド 外資規制
2024年2月更新
1.外国直接投資(FDI: Foreign Direct Investment)規制総論
インドにおいては、一定の産業分野において外国投資が全面的に禁止され、又は一定の制限を課しています。具体的な外国直接投資規制は、インド商工省(Ministry of Commerce and Industry)の産業及び国内取引促進局(DPIIT: Department for Promotion of Industry and Internal Trade)が発行する統合FDIポリシー(Consolidated FDI Policy)及び都度発行するプレス・ノートによって規定されています。
2.具体的規制
(1) 外国直接投資に必要な承認
インド非居住者がインドの会社に投資する場合、その投資対象となる会社の事業分野によって、事前承認が必要ない場合(自動承認ルート)と政府の事前承認が必要となる場合(政府承認ルート)の二つのルートがあります。
- (a) 自動承認ルート(Automatic Route)
自動承認ルートによる外国直接投資の場合、当該投資に関しインド政府からのいかなる承認も必要とされません。 - (b) 政府承認ルート(Government Route)
政府承認ルートによる外国直接投資は、当該投資分野を管轄する各省庁/部局による事前承認が必要となります。政府承認ルートによる外国直接投資に関する提案は、上記の管轄省庁/部局により検討・審査され、承認の有無が判断されます。具体的な手続の流れは、以下のとおりです。
- ①承認申請書の提出
政府承認ルートによる外国直接投資に関する提案及び添付書類は、外国投資促進ポータル(Foreign Investment Facilitation Portal:https://fifp.gov.in/)を通じてオンラインによって提出されます。 - ②内部承認手続
- インド商工省産業及び国内取引促進局は、当該提案を2日以内に管轄省庁/部局に回覧します。当該提案は、インド外国為替法の観点からの見解を得るためインド準備銀行にもオンラインで回覧されます。
- インド商工省産業及び国内取引促進局は、上記オンライン申請の受理後4週間以内にその見解を提示しなければなりません。
- 上記見解に従い、インド商工省産業及び国内取引促進局は申請者に対して、追加の情報/説明を求めることができます。
- なお、500億ルピーを超える外国直接投資を含む投資提案は、内閣経済委員会(Cabinet Committee of Economic Affairs)に上程されなければなりません。
- ③最終承認
当該提案についてすべての点について手続が完了すれば、8~10週間以内に承認が得られます。
(2) 外国投資の報告要件
外国企業から投資金額を受領したインド企業は、当該投資に対する株式を割り当てた後30日以内に、Form FC-GPR (SMF) の様式でその外国投資受領の報告をインド準備銀行に提出しなければなりません。以前は、Advance Remittance Form(ARF)とFC-GPRの様式で提出されていましたが、2018年6月7日付けのインド準備銀行の通達によって両者はForm FC-GPR (SMF) に統合され、現在はこのシングルマスターフォーム(SMF)の方式でのみオンライン提出されなければなりません。
(3) 外国直接投資が全面的に禁止されている分野
以下の分野においては、外国直接投資が全面的に禁止されています。
- 宝くじ事業(政府・民間いずれが主宰する場合も含む。オンラインでの宝くじも含む)
- 賭博・賭け(カジノ等を含む)
- チット・ファンド(Chit funds)
- ニディ・カンパニー(Nidhi company)
- 譲渡可能な開発権(TDRs: Transferable Development Rights)の取引
- 不動産業又はファーム・ハウス(Farm House)の建設
「不動産業」には、タウンシップの開発、住宅/商業施設、道路、橋梁の建設、並びに2014年インド証券取引委員会(不動産投資信託)レギュレーションに基づいて登録・規制される不動産投資信託(REITs)を含まない。 - 葉巻、たばこ類及びたばこ代用品の製造
- 民間企業に投資が開放されていない事業・分野(例:原子力産業、エネルギー産業、及び鉄道事業。但し、統合FDIポリシーに規定されている許可された活動を除く)
(4) 外国直接投資が制限されている分野
以下の分野においては、外国直接投資の上限、政府の事前承認の有無、及び投資条件等について規制されています。なお、下記事業分野に関しては、その他に関連法規、FDIポリシー上に別途規定されているその他の条件に従う必要があるものもあります。
投資分野 |
自動承認ルート |
政府承認ルート |
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農業及び畜産業 |
100% |
—- |
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【投資対象】 ・ 管理された条件の下での花卉園芸、及び野菜又は茸の栽培 ・ 種子及び植栽材料の開発・生産 ・ 管理された条件の下での畜産(犬の繁殖を含む)、養魚、水産養殖、及び養蜂 ・ 農業及び関連する事業に関するサービス ※ なお、上記以外の農業分野に対する外国直接投資は認められていない。 |
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プランテーション事業 |
100% |
—- |
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【投資対象】 ・ 紅茶プランテーションを含む紅茶分野 ・ コーヒープランテーション ・ 天然ゴムプランテーション ・ カルダモンプランテーション ・ パーム油プランテーション ・ オリーブ油プランテーション ※ 上記以外のプランテーション分野/事業に対する外国直接投資は一切認められていない。 |
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金属及び非金属鉱石の採掘及び探鉱事業 |
100% |
—- |
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【主要条件】 ・ ダイヤモンド、金、銀、貴金属鉱石を含むが、チタン含有鉱物及び鉱石等は含まない(1957年インド鉱山及び鉱物(開発及び規制)法(the Mines and Minerals (Development & Regulation) Act, 1957) |
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石炭及び亜炭事業 |
100% |
—- |
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【投資対象】 (a) 発電プロジェクト、鉄鋼及びセメントユニット、及び1973年インド炭鉱(国有化)法(Coal Mines (Nationalization) Act, 1973)の規定によって認められるその他の活動による自己消費用の石炭及び亜炭の採掘 (b) 石炭の採掘をしないこと、一般市場において自社の石炭加工施設から選鉱された石炭を販売しないこと、及び選鉱のため石炭加工会社に原炭を供給している当事者に対して選鉱された石炭を供給することという条件で、選鉱場のような石炭加工会社を設立すること |
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チタン含有鉱物及び鉱石の採掘及び鉱物分離、価値付加及び統合事業 |
—- |
100% |
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【投資対象】 ・ 当該産業分野のレギュレーション及び1957年インド鉱山及び鉱物(開発及び規制)法(the Mines and Minerals (Development & Regulation) Act, 1957)に従ったチタン含有鉱物及び鉱石の採掘及び鉱物分離、価値付加及び統合事業 |
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石油及び天然ガス事業 |
100% |
—- |
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【投資対象】 ・ 民間分野における、油田及び天然ガス田の探掘事業、石油製品及び天然ガスの販売に関するインフラ事業、天然ガス及び石油製品の販売業、石油製品パイプライン、天然ガスパイプライン事業、液化天然ガス再ガス化インフラ事業、市場調査及び形成、並びに石油精製事業 ※ 但し、本分野の既存のポリシー、石油販売分野における規制枠組、石油探掘及び国営石油会社の発見済油田への民間参加に関する政府ポリシーに従うものとする。 |
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石油精製事業(公営企業) |
上限49% |
—- |
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【投資対象】 ・ 公営企業による石油精製(但し、既存の公営企業の国内株式の出資引上げ又は希釈化とならないこと) ※ 上記の投資上限にかかわらず、公営企業への出資の戦略的引上げのため、政府によって「原則的」承認が付与された場合、石油精製公営企業への外国直接投資は、100%/自動承認ルートによって認められる。 |
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製造業 |
100% |
—- |
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【投資対象】 ・ 製造業とは、投資先企業による自社製造又は法的拘束力を有する契約を通じたインドにおける委託製造のいずれかであり、本人対本人ベースか本人対代理人ベースかを問わない。 ※ FDIポリシーの規定に従うことを条件に、「製造」業への外国投資は、自動承認ルートによる。さらに、製造業者は、政府の承認なしに、インド国内において製造された製品を卸売り及び/又は小売りを通じて(電子商取引を含む)販売することが許されている。 |
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自動車製造業 |
100% |
—- |
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※ FDIポリシーの規定に従うことを条件に、自動車の「製造」業への外国投資は、自動承認ルートによる。さらに、製造業者は、政府の承認なしに、インド国内において製造された製品を卸売り及び/又は小売りを通じて(電子商取引を含む)販売することが許されている。 |
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自動車部品製造業 |
100% |
—- |
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※ FDIポリシーの規定に従うことを条件に、自動車部品の「製造」業への外国投資は、自動承認ルートによる。さらに、製造業者は、政府の承認なしに、インド国内において製造された製品を卸売り及び/又は小売りを通じて(電子商取引を含む)販売することが許されている。 |
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資本財(Capital Goods) |
100% |
—- |
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※ FDIポリシーの規定に従うことを条件に、資本財の「製造」業への外国投資は、自動承認ルートによる。さらに、製造業者は、政府の承認なしに、インド国内において製造された製品を卸売り及び/又は小売りを通じて(電子商取引を含む)販売することが許されている。 |
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防衛 |
74%以下 |
74%超 |
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【投資対象】 ・ 1951年インド産業(開発及び規制)法(the Industries (Development & Regulation) Act, 1951)に基づく産業ライセンスに従った防衛産業、及び1959年インド武器法(the Arms Act, 1959)に基づく小型武器及び弾薬の製造業 ※ 最新技術へのアクセスにつながる可能性が高い場合もしくはその他記録されるべき理由がある場合、74%超の政府承認ルートによる。 |
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放送キャリッジサービス |
100% |
—- |
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【投資対象】 ・ 地上通信拠点(アップ・リンクのための通信ハブ/地上通信拠点の設置) ・ 家庭向け衛星通信事業(DTH:Direct To Home) ・ ケーブル・ネットワーク事業(国、州、又は地区レベルで運営され、デジタル化及びアドレス指定能力に関するネットワークのアップ・グレードを行う複数ケーブルテレビシステムの運営事業者(MSOs:Multi System Operators)) ・ モバイル・テレビ事業 ・ 衛星を用いたヘッドエンド共用のデジタル放送サービス事業(HITS:Headend-in the Sky Broadcasting Service) ・ ケーブル・ネットワーク事業(デジタル化及びアドレス指定能力に関するネットワークのアップ・グレードを行わないその他の複数ケーブルテレビシステムの運営事業者及びローカルケーブルテレビの運営事業者) ※ ライセンス/許可を申請していない会社、株主構成の変動又は既存投資家から新たな外国投資家への株式譲渡がある会社への49%を超える新たな外国投資の場合、政府の承認が必要となる。 |
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放送コンテンツ業(FMラジオ) |
—- |
上限49% |
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※ 地上波FM放送(FMラジオ)は、情報放送省(Ministry of Information & Broadcasting)が適時指定する条件に従い、FMラジオ放送局の設置許可が付与される |
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放送コンテンツ業(TVニュース等) |
—- |
上限49% |
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【投資対象】 ・ 「ニュース及び時事」ではないテレビチャンネルのアップ・リンク事業 |
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放送コンテンツ業(デジタルメディアニュース等) |
—- |
上限26% |
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【投資対象】 ・ デジタルメディアを通じたニュース及び時事のアップロード/ストリーミング事業 |
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放送コンテンツ業(ニュース等以外) |
100% |
—- |
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【投資対象】 ・ 「ニュース及び時事」ではないテレビチャンネルのアップ・リンク事業/テレビチャンネルのダウン・リンク事業 |
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印刷媒体(ニュース及び時事を取り扱う新聞、定期刊行物、及び外国雑誌のインド版の出版) |
—- |
上限26% |
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【投資対象】 ・ ニュース及び時事を取り扱う外国雑誌のインド版の出版業 ・ ニュース及び時事を取り扱う新聞及び定期刊行物の出版業 |
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印刷媒体(科学技術雑誌/専門誌/定期刊行物及び外国新聞のファックス版の出版・印刷) |
—- |
100% |
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【投資対象】 ・ 外国新聞のファックス版の発行 ・ 科学技術雑誌/専門誌/定期刊行物の出版・印刷業 ※ 但し、適用される法的枠組及びこの点に関しインド情報及び放送省によって適時発行されるガイドラインを遵守することを条件とする |
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空港業(新規及び既存) |
100% |
—- |
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【投資対象】 ・ 新規事業及び既存事業 |
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航空輸送サービス(定期便の航空輸送サービス、地方航空輸送サービス) |
49%以下 |
49%超 |
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【投資対象】 ・ 定期便による航空輸送サービス業/国内の定期旅客航空便サービス業 ・ 地方航空輸送サービス業 ※ NRI(非居住インド人)による投資の場合、自動承認ルートによる100%の外国直接投資が認められる。 |
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航空輸送サービス(不定期便及び民間航空分野によるその他のサービス) |
100% |
—- |
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【投資対象】 ・ 不定期便による航空輸送サービス業 ・ 民間航空総局(Directorate General of Civil Aviation)の承認が必要とされるヘリコプターサービス業/水上飛行機サービス業 |
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民間航空分野のその他のサービス(空港地上支援サービス) |
100% |
—- |
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【投資対象】 ・ 本分野のレギュレーション及び保安検査に従った空港地上支援サービス業 |
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民間航空分野のその他のサービス(整備及び修理機関、飛行訓練機関、技術訓練機関) |
100% |
—- |
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【投資対象】 ・ メンテナンス及び修理機関、飛行訓練機関、技術訓練機関 |
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建設及び開発 |
100% |
—- |
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【投資対象】 ・ 建設開発プロジェクト事業(タウンシップの開発、居住用/商業用施設、道路又は橋梁、ホテル、リゾート、病院、教育施設、レクリエーション施設、市及び地域レベルのインフラ、タウンシップの建設を含む) 【備考】 建設開発プロジェクトの各段階は、FDIポリシー上は個別のプロジェクトと見做される。投資は、下記の条件に従うものとされる。 (a) 投資家は、プロジェクトの完了時点又は主要インフラ(すなわち、道路、給水、街灯、排水、及び下水)の整備後、撤退することが認められる。 (b) 上記(a)に関わらず、インド国外居住者は、自動承認ルートによるプロジェクトの完了前に撤退及び外国投資の本国送金が認められる(但し、外国投資の各部分に関して計算される3年のロック・イン期間が満了していること)。 さらに、国外送金を伴わないインド国外居住者から他のインド国外居住者への持分の譲渡は、ロック・イン期間又は政府承認のいずれも政府承認の条件とはならない。 (c) プロジェクトは、関係する州政府/地方自治体の建築管理規則、条例、その他のレギュレーションに規定される基準(土地使用要件、及び共用施設・設備の提供を含む)に従わなければならない。 (d) 投資を受けたインド企業は、開発済の区画のみを販売することが許される。なお、「開発済の区画」とは、本ポリシーにおいては、主要インフラ(すなわち、道路、給水、街灯、排水、及び下水)が利用可能となった区画を意味する。 (e) 投資を受けたインド企業は、すべての必要な承認(建築/レイアウト計画、区画内、周辺地域、及びその他のインフラ設備の整備、整備費用、外部整備費用の支払いの承認を含む)の取得、及び関係する州政府/地方自治体の規則/条例/レギュレーションに規定されるその他すべての要件を遵守する責任を負わなければならない。 ※ 建築/開発計画を承認する州政府/地方自治体は、開発者による上記条件の遵守を監視する。 |
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工業団地(Industrial Park) |
100% |
—- |
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【投資対象】 ・ 新規及び既存の工業団地 |
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病院建設 |
100% |
—- |
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【投資対象】 ・ 病院 |
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人工衛星(設置及び運用) |
—- |
100% |
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【投資対象】 ・ 宇宙局/インド宇宙研究機構(ISRO: Indian Space Research Organisation)のガイドラインに従った人工衛星の設置及び運用事業 |
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民間警備会社(Private Security Agencies) |
49%以下 |
49%超 (上限74%) |
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【投資対象】 ・ 民間警備会社 |
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通信サービス(Telecom Services) |
100% |
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【投資対象】 ・ すべての通信サービス事業(カテゴリーIの通信インフラ提供事業者、すなわち、固定電話、携帯電話、統合アクセスサービス、統一ライセンス(アクセスサービス)、統一ライセンス、国内/国際長距離通信、商用V-Sat(小型通信基地局)、公共携帯無線共有サービス(PMRTS)、クローバル携帯個人通信サービス(GMPCS)、すべてのタイプのインターネットサービスプロバイダー(ISP)ライセンス、音声メール/オーディオテックス/統一メッセージシステム(UMS)、国際個人専用線の再販、携帯番号ポータビリティサービス、(光ファイバー予備回線、敷設権、ダクトスペース、電波塔を提供する)カテゴリーIのインフラ提供事業者) 但し、その他のサービス提供者を除く |
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現金卸売業/卸売業 |
100% |
—- |
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【投資対象】 ・ 現金卸売業/卸売業(零細・小規模企業からの仕入れを含む) |
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電子商取引(E-commerce activities) |
100% |
—- |
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【主要条件】 ・ FDIポリシーに従い、電子商取引事業者は、B to B電子商取引のみが認められ、B to C電子商取引は認められない。 【定義】 (i) 電子商取引(E-commerce)とは、デジタル及び電子ネットワークを介したデジタル製品を含む物品及びサービスの売買を意味する (ii) 電子商取引事業者(E-commerce entity)とは、1956年インド会社法又は2013年インド会社法に基づいて設立された会社、2013年インド会社法第2条42項に規定された外国会社、もしくは1999年インド外国為替管理法第2条(v)(iii)に規定されるインド国外に居住して電子商取引ビジネスを行っている者が保有又は管理するインドにおける事務所、支店、及び代理店を意味する。 (iii) 在庫型電子商取引(Inventory based model of E-commerce)とは、電子商取引事業者が物品及びサービスの在庫を保有し、そのような物品及びサービスを消費者に直接販売する電子商取引活動を意味する。 (iv) 市場型電子商取引(Marketplace based model of E-commerce)とは、買い手と売り手間のファシリテーターとして機能するため、電子商取引事業者がデジタル及び電子ネットワーク上に情報技術プラットフォームを提供することを意味する。 【ガイドライン】 (a) 市場型電子商取引に対する外国投資は、上限100%/自動承認ルートにより認められる。 (b) 在庫型電子商取引に対する外国投資は認められない。 |
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単一ブランド小売業 |
100% |
—- |
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【主要条件】 (a) 単一ブランド小売業への外国投資は、当該商品の製造及び販売への投資の誘致、消費者に対する当該商品の入手可能性の改善、インドからの商品調達の促進、及びグローバルなデザイン、技術、及び経営慣習へのアクセスを通じたインド企業の競争力の強化を目的とする。
(b) 単一ブランド小売業への外国投資は、以下の条件に従う。 (i) 販売される商品は、「単一ブランド」のみである。 (ii) 商品は、国際的に同じブランドで販売されること。すなわち商品は、インド以外の1以上の国で同じブランドで販売されること。 (iii) 「単一ブランド」小売業は、製造過程でブランド化される製品のみを対象とする。 (iv) インド非居住の事業体は、当該ブランドの所有者であるか否かを問わず、直接又は当該ブランドの所有者との法的拘束力を有する契約を通じて、特定のブランドについて「単一ブランド」小売業を行うことが許されるものとする。本条件の遵守を保証する責任は、インドにおいて単一ブランド小売事業を行っているインドの事業体にある。投資する側の事業体は、承認を求める際にこの旨の証拠(ライセンス/フランチャイズ/サブライセンス契約書のコピーを含み、上記の条件の遵守を具体的に示す証拠)を提供しなければならない。必要な証拠は、自動承認ルートに関しインド準備銀行に、また承認を伴う事案については管轄当局に提出されるものとする。 (v) 51%を超える外国投資を伴う提案に関しては、商品仕入価格の30%は、インド国内(中小零細企業、村及び家内工業、職人、及び職工が望ましい)から調達されるものとする。国内調達量は、当該会社によって自己証明され、その後法定監査人によって、会社が保管しなければならない認証済会計書類に基づいてチェックされるものとする。本調達要件は、まず、本事業が開始された(すなわち第一号店が開店した)年の4月1日から起算する5年間の商品の仕入総額の平均として充足されなければならない。その後は、年単位で充足されなければならない。調達要件の遵守の確認の観点からは、関係事業体は、インドにおいて設立され、単一ブランド小売業の遂行のために外国投資を受けた会社である。 (vi) 上記(v)の調達要件の充足について、単一ブランド小売業者は、当該単一ブランドについてインドから調達した商品は、調達された商品がインド国内で販売されるかインド国外に輸出されるかにかかわらず、現地調達された商品に算入するものとする。また、単一ブランド小売業者は、グローバル事業のためのインド国内での商品調達量を、調達要件である30%と相殺することが許される。この点に関し、「グローバル事業のためのインド国内での商品調達量」とは、単一ブランド小売業者又はそのグループ会社(インド居住者かインド非居住者かを問わない)が、所定の会計年度において、当該単一ブランドについてグローバル事業のためにインド国内で調達した商品の価額(INR建て)を意味するものとする。 (vii) 本段落に規定される条件に従い、実店舗で事業を行っている単一ブランド小売業者は、電子商取引を通じて小売事業を行うことが認められる。
(c) インドにおいて単一ブランド小売業を行おうとしている会社に対する49%を超える外国直接投資ついて、政府への許可申請は、産業及び国内取引促進局(DPIIT)の産業支援事務局(SIA: Secretariat for Industrial Assistance)になされるものとする。申請書には、「単一ブランド」によって販売される予定の製品/製品カテゴリーが具体的に示されなければならない。「単一ブランド」によって販売される製品/製品カテゴリーへの追加は、政府の新たな承認が必要とされる。49%までの外国直接投資の場合、販売される予定の製品/製品カテゴリーのリストは、インド準備銀行に対して提出されるものとする。但し、食品の場合はこの限りではない。 |
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複数ブランド小売業 |
—- |
上限51% |
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【主要条件】 (a) すべての商品において、複数ブランド小売業への外国直接投資は、以下の条件に従って許可される。 (i) 生鮮農産物(果物、野菜、花、穀物、豆類、生鮮鶏肉、魚介類、及び肉製品を含む)はブランドなしとすることができる。 (ii) 外国投資家による外国直接投資の最低額は、1億米ドルとする。 (iii) 第一段階の1億米ドルの外国直接投資総額の50%以上は、3年以内に「バックエンド・インフラ」に投資されなければならない。「バックエンド・インフラ」には、すべての活動に関する資本支出が含まれるが、フロントエンド施設に関する資本支出は含まれない。例えば、バックエンド・インフラには、加工、製造、流通、デザイン改良、品質管理、梱包、物流、保管、倉庫、農業市場生産インフラ等に対する投資が含まれる。土地取得費用及び賃料に関する支出は、バックエンド・インフラへの支出としては計上されない。バックエンド・インフラへのその後の投資は、複数ブランド小売り業者によって、その事業の必要性に応じて行われる。 (iv) 購入される製造品/加工品の調達額の30%以上は、そのプラント及び機械設備への投資総額が200万米ドル以下のインドの零細及び中小企業から調達されなければならない。この価額は、プラント及び機械設置時における価額を参照し、減価償却は考慮しない。「小企業」の地位は、当該小売業者との初回取引時においてのみ考慮され、そのような小企業が当該小売業者との取引期間中に200万米ドルの投資額を超過したとしても、本件の趣旨においては、引き続き「小企業」と見做すものとする。農業協同組合等からの調達も、本類型にあたるものと見做される。調達要件は、まず、第一段階の外国直接投資が行われた年の4月1日から起算して5年間の製造品/加工品の調達総額の平均として充足されなければならない。その後は、年単位で充足されなければならない。 (v) 当該会社による自己証明書は、上記(ii)(iii)及び(iv)の条件の遵守を確認するため、要求された際にクロスチェックが行われる。したがって、投資家は、法定監査人によって正式に証明された会計書類を保管しなければならない。 (vi) 小売店舗は、2011年の国勢調査に従って100万を超える人口を有する都市又は各州政府の決定に従ったその他の都市にのみ設置することができる。また、当該都市の集積制限地の周囲10キロの地域も対象とすることができる。小売店舗の場所は、当該都市の都市計画に従った適合地域に制限され、運送接続点や駐車場の必要施設も提供されるものとする。 (vii) 政府は、農産物の優先調達権を有する。 (viii) 上記ポリシーは、法が権能を付与するポリシーにすぎず、州政府/連邦直轄地は、本ポリシーの実行に関し自由に独自の決定をすることができる。それゆえ、小売店舗は、本ポリシーに基づく複数ブランド小売業への外国直接投資を許可することに同意した、又は将来許可することに同意する州政府/連邦直轄地においてのみ設置することができる。このような同意をした州/連邦直轄地のリストは、下記の(b)のとおりである。本ポリシーに基づく小売店舗設置を許可する将来の同意は、産業政策促進局(DIPP: Department of Industrial Policy & Promotion)を通じてインド政府に対して行われ、下記(b)のリストに追加される。小売店舗の設置は、店舗及び施設法のような該当する州/連邦直轄地の法律/レギュレーションを遵守しなければならない。 (ix) 電子商取引の手段による小売業は、いかなる方式であっても、外国直接投資を受けた複数ブランド小売業を行う会社に対しては許可されない。
(b) 同意をしている州/連邦直轄地 1. アンドラ・プラデシュ州(Andhra Pradesh) 2. アッサム州(Assam) 3. デリー準州(Delhi) 4. ハリヤナ州(Haryana) 5. ヒマーチャル・プラデシュ州(Himachal Pradesh) 6. ジャム及びカシミール州(Jammu & Kashmir) 7. カルナタカ州(Karnataka) 8. マハラシュトラ州(Maharashtra) 9. マニプール州(Manipur) 10. ラジャスタン州(Rajasthan) 11. ウッタラカンド州(Uttarakhand) 12. ダマン、ディウ、ダドラ、及びナガール・ハベリ連邦直轄地(Daman & Diu and Dadra and Nagar Haveli (Union Territories)) |
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免税店(Duty Free Shops) |
100% |
—- |
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【投資対象・主要条件】 (a) 免税店とは、国際旅客の乗り継ぎがある国際空港/国際港、及び税関事務所にある保税エリアに設置された店舗を意味する。 (b) 免税店への外国投資は、1962年インド関税法(the Customs Act, 1962)、その他の法令、規則、及びレギュレーションに規定された条件を遵守すること。 (c) 免税店事業者は、国内関税エリアにおいていかなる小売事業活動にも従事してはならない。 |
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鉄道インフラ |
100% |
—- |
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【投資対象】 以下の建設、運営、及びメンテナンス事業 (a) 官民パートナーシップを通じた郊外コリドープロジェクト (b) 高速鉄道プロジェクト (c) 専用貨物線 (d) 鉄道車両(列車編成、及び駆動車/客車の製造及びメンテナンス設備を含む) (e) 鉄道の電化 (f) 信号システム (g) 貨物ターミナル (h) 旅客ターミナル (i) 鉄道本線/側線(電化鉄道線及び本線への引込線を含む)に係る工業団地のインフラ (j) 大量高速輸送システム |
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資産再建会社 |
100% |
—- |
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【定義】 ・ 資産再建会社(Asset Reconstruction Companies)とは、2002年インド金融資産の証券化及び再建並びに担保権の実行法(the Securitisation and Reconstruction of Financial Assets and Enforcement of Security Interest Act, 2002)第3条に基づいてインド準備銀行に登録された会社を意味する。 |
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銀行業(民間) |
49%以下 |
49%超 (上限74%) |
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【投資対象】 ・ 民間銀行業 |
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銀行業(公的) |
—- |
上限20% |
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【投資対象】 ・ 1970/80年インド銀行会社(事業の取得及び譲渡)法(Banking Companies (Acquisition & Transfer of Undertakings) Acts, 1970/80)に従った公的銀行業 ※ 当該20%の投資上限は、インドステイト銀行(State Bank of India)及びその関連銀行にも適用される。 |
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信用情報会社(Credit Information Companies) |
100% |
—- |
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【投資対象】 ・ 信用情報会社 |
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証券市場におけるインフラ会社 |
上限49% |
—- |
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【投資対象】 ・ 証券市場におけるインフラ会社、すなわちインド証券取引委員会(SEBI)レギュレーションを遵守する証券取引所、商品取引所、預託機関、及び手形交換所 |
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保険会社 |
上限74% |
—- |
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【投資対象】 ・ 保険会社 |
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生命保険会社 |
上限20% |
—- |
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【投資対象】 ・ インド国内の生命保険会社(Life Insurance Corporation) |
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保険仲介業 |
100% |
—- |
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【投資対象】 ・ 保険仲介業 上記には、保険ブローカー、再保険ブローカー、保険コンサルタント、企業代理店、サードパーティ管理者、サーベイヤー、損害鑑定人、及び保険規制及び開発局が随時行う通達によって別途定めるその他の事業者が含まれる。 |
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年金 |
上限49% |
—- |
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【投資対象】 ・ 年金基金(Pension Funds) |
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電力取引所(Power Exchanges) |
上限49% |
—- |
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【投資対象】 ・ 2010年インド中央電気規制委員会(電力市場)レギュレーション(the Central Electricity Regulatory Commission (Power Market) Regulations, 2010)に基づいて登録された電力取引所 |
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他者ATMの運営(White Label ATM Operation) |
100% |
—- |
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【投資対象】 ・ 他者ATMの運営事業 |
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その他の金融サービス |
100% |
—- |
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【投資対象】 ・ 金融分野の規制者(インド準備銀行(RBI: Reserve Bank of India)、インド証券取引委員会(SEBI: Securities and Exchange Board of India)、保険規制開発当局(IRDA: Insurance Regulatory and Development Authority)、年金基金規制及び開発局(PFRDA: Pension Fund Regulatory and Development Authority)、国立住宅銀行(NHB: National Housing Bank)、又はインド政府によって別途通達されるその他の金融分野の規制者)が規制する金融サービス業 |
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製薬(新規事業) |
100% |
—- |
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【投資対象】 ・ 新規事業 |
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製薬(既存事業) |
74%以下 |
74%超 |
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【投資対象】 ・ 既存事業 |
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バイオテクノロジー(新規事業) |
100% |
—- |
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【投資対象】 ・ 新規事業への投資 |
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バイオテクノロジー(既存事業) |
74%以下 |
74%超 |
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【投資対象】 ・ 既存事業への投資 |
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ヘルスケア(新規事業) |
100% |
—- |
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※ 自動承認ルートによる100%の外国直接投資が認められている。政府の承認は不要。 |
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ヘルスケア(既存事業) |
74%以下 |
74%超 |
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【主要条件】 (a) 政府の承認を得た特別な状況がある場合を除き、「競業避止」条項は認められない。 (b) 投資を行う予定の者及び投資を受ける予定の者は、政府承認のための申請書と共にFDIポリシーで定められた証明書を提出する必要がある。 (c) 政府の承認には、既存事業への外国投資に関する適切な条件を付することができる。 (d) 自動承認ルートか政府承認ルートかにかかわらず、既存の製薬業への外国投資は、さらに以下の条件に従わなければならない。 (i) 外国投資時における国家必須医薬品リスト(NLEM: National List of Essential Medicines)に含まれる医薬品及び/又は消耗品の生産レベル、及び国内市場への供給は、以降5年間絶対量レベルで維持されること。このレベルに関する基準は、外国投資3会計年度におけるNLEMの医薬品及び/又は消耗品の生産レベルを参照して決定される。これらのうち、3会計年度のいずれかの年度における生産の最高レベルが当該レベルとされる。 (ii) 研究開発費が、外国投資時における絶対量レベルで5年間の金額ベースで維持されること。このレベルに関する基準は、外国投資初年度の直前3会計年度のいずれかの年度において発生した研究開発費の最高レベルを参照して決定される。 (iii) 投資を受け入れる会社に対する外国直接投資とともに技術移転があれば、それに関する完全な情報が関係省庁に提供される。 (iv) 関係省庁(すなわち、保健及び家族福祉省(Ministry of Health and Family Welfare)、医薬品局(Department of Pharmaceuticals)、又は中央政府によって適時通知されるその他一切の規制機関等は、上記条件の遵守を監視する。 |
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化学事業 |
100% |
—- |
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※ FDIポリシーの規定に従うことを条件に、「製造」業への外国投資は、自動承認ルートによる。さらに、製造業者は、政府の承認なしに、インドに国内おいて製造された製品を卸売り及び/又は小売りを通じて(電子商取引を含む)販売することが許されている。 |
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医療機器製造業 |
100% |
—- |
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※ 医療機器の製造業への外国直接投資は、100%/自動承認ルートによって認められている。 |
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電子システム(Electronic System) |
100% |
—- |
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※ FDIポリシーの規定に従うことを条件に、「製造」業への外国投資は、自動承認ルートによる。さらに、製造業者は、政府の承認なしに、インド国内において製造された製品を卸売り及び/又は小売りを通じて(電子商取引を含む)販売することが許されている。 |
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食品加工(Food Processing) |
100% |
—- |
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※ FDIポリシーの規定に従うことを条件に、「製造」業への外国投資は、自動承認ルートによる。さらに、製造業者は、政府の承認なしに、インド国内において製造された製品を卸売り及び/又は小売りを通じて(電子商取引を含む)販売することが許されている。 |
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食品小売業 |
—- |
100% |
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【主要条件】 ・ 食品生産物は、インド国内において製造及び/又は生産されなければならない。 |
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IT及びビジネスプロセスマネジメント |
100% |
—- |
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※ 適用法/レギュレーション、安全保障及びその他の条件の自動承認ルートによる100%の外国直接投資が認められている。 |
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港湾及び船積み(Port and Shipping) |
100% |
—- |
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※ 適用法/レギュレーション、安全保障、及びその他の条件に従い、自動承認ルートによる100%の外国直接投資が認められている。 |
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道路及び高速道路 |
100% |
—- |
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※ 適用法/レギュレーション、安全保障、及びその他の条件に従い、自動承認ルートによる100%の外国直接投資が認められている。 |
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革製品 |
100% |
—- |
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※ FDIポリシーの規定に従うことを条件に、「製造」業への外国投資は、自動承認ルートによる。さらに、製造業者は、政府の承認なしに、インド国内において製造された製品を卸売り及び/又は小売りを通じて(電子商取引を含む)販売することが許されている。 |
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織物及び衣類(Textile and Garments) |
100% |
—- |
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※ FDIポリシーの規定に従うことを条件に、「製造」業への外国投資は、自動承認ルートによる。さらに、製造業者は、政府の承認なしに、インド国内において製造された製品を卸売り及び/又は小売りを通じて(電子商取引を含む)販売することが許されている。 |
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火力発電(Thermal Power) |
100% |
—- |
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【投資対象】 ※ 適用法/レギュレーション、安全保障及びその他の条件に従い、自動承認ルートによる100%の外国直接投資が認められている。 |
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再生可能エネルギー |
100% |
—- |
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※ 自動承認ルートによる100%の外国直接投資が認められている。政府の承認は不要。 |
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観光及びホスピタリティ |
100% |
—- |
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※ 適用法/レギュレーション、安全保障及びその他の条件に従い、自動承認ルートによる100%の外国直接投資が認められている。 |