インドネシアにおける不動産規制

2016年12月6日更新

 インドネシアにおいては、法律上、土地等を利用等する権利は、国が独占的に有する旨が定められているため、土地を利用するためには、国から様々な許可を取得することが必要になる。インドネシアにおける土地に関する主要な権利は、以下のとおりである。

 (i) 所有権(Hak Milik)

 (ii) 事業権(Hak Guna-Usaha)

 (iii) 建設権(Hak Guna-Bangunan)

 (iv) 使用権(Hak Pakai)

 (v) 借地権(Hak Sewa)

 本稿では、これらのうちでも、インドネシアにおける外国投資企業が取得することの多い権利である、1.事業権、2.建設権、3.使用権について概説する。

  1. 1. 事業権
  2.  事業権とは、農業・水産業等を目的として、国有地を使用する権利である。かかる事業権が設定される対象は国有地に限られ、所轄官庁の決定により事業権が付与される。

     事業権の有効期間は、原則として、個人の場合は最長で25年、法人の場合には最長35年とされているが、その期間内の土地の管理が適切であることを条件としてそれぞれ25年の延長が認められ、さらに一定の要件を満たした場合には、更なる更新も可能である。

     事業権者は、事業権に抵当権を設定して担保として利用することが可能である。また、事業権は、売却・交換・贈与・遺贈の対象となり、また、企業への現物出資の対象とすることも可能である。

     事業権者の主な義務は、以下のとおりである。

     (i) 事業権付与決定に従い、国に対して納入金を支払う義務

     (ii) 事業権付与の決定の内容に従って、農業・水産業等を営む義務

     (iii) 土地・建物・これらの周囲の環境を維持・管理する義務

     (iv) 事業権が設定された土地の使用状況について、年1回の報告を行う義務

  3. 2. 建設権
  4.  建設権とは、土地上に建物その他の建造物を建設し、これを所有する権利であり、国有地又は私有地上に設定することができる。国有地上に建設権を設定する場合、所轄官庁の決定により建設権が付与されるが、私有地に建設権を設定する場合には、建設権設定契約を作成し、これを公正証書の形式にする必要がある。外国投資企業が、インドネシアにおいて工場又はオフィスを建設する場合、この建設権が利用される。

     建設権の有効期間は、原則として、個人・法人いずれの場合も最長30年とされているが、その期間内の土地の管理が適切であることを条件として、原則として20年の延長が認められ、さらに一定の要件を満たした場合には、更なる更新も可能である。

     建設権者は、建設権に抵当権を設定して担保として利用することが可能である。また、建設権は、売却・交換・贈与・遺贈の対象となり、また、企業への現物出資の対象とすることも可能である。

     建設権者の主な義務は、以下のとおりである。

     (i) 建設権付与決定(国有地の場合)又は建設権設定契約(私有地の場合)に従い納入金を支払う義務

     (ii) 建設権付与決定(国有地の場合)又は建設権設定契約(私有地の場合)の内容に従って、土地を利用する義務

     (iii) 土地・建物・これらの周囲の環境を維持・管理する義務

  5. 3. 使用権
  6.  使用権とは、特定の目的のために土地を使用する権利であり、国有地又は私有地上に設定することができる。使用権は、事業権・建設権とは異なり、外国人又はインドネシア国外で設立された外国企業も保有することができるため、外国企業のインドネシア駐在員事務所も使用権を保有することができる。

     使用権の有効期間は、国有地については、最長で25年とされているが、最長20年の延長が可能であり、さらに一定の要件を満たした場合には、更なる更新も可能である。

     国有地に設定された使用権については、抵当権を設定して担保として利用することが可能であり、売却・交換・贈与・遺贈の対象となり、また、企業への現物出資の対象とすることも可能である。

     使用権者の主な義務は、以下のとおりである。

     (i) 使用権付与決定(国有地の場合)又は使用権設定契約(私有地の場合)に従い納入金を支払う義務

     (ii) 使用権付与決定(国有地の場合)又は使用権設定契約(私有地の場合)の内容に従って、土地を利用する義務

     (iii) 土地・建物・これらの周囲の環境を維持・管理する義務

    以上