インドネシアからの事業の撤退
2016年12月6日更新
インドネシアにおいて会社の既存の事業を終結し、その法人格を消滅させる形で撤退する場合には、原則としてインドネシア会社法に定められた解散・清算・法人格の消滅に関する規定に沿って手続を進めることになる。一般的な清算の事例におけるこれらの手続の概要を紹介する。なお、企業の破産の場合の手続については、破産及び債務の支払停止に関する法律(2004年法律第37号、以下「破産法」という。)に基づく手続となる。これについては、本ウェブサイト国際コンテンツ内の「インドネシアにおける倒産処理」を参照されたい。
- 1. 株主総会における解散決議
- 2. 清算人の選任
- 3. 清算の通知・公告
- 4. 会社債権者による請求
- 5. 会社の資産及び負債の記録、資産分配計画の公告
- 6. 債権者への債務の弁済及び残余財産の株主への分配
- 7. 株主総会への清算完了の報告
- 8. 法務人権大臣への清算完了の通知及び新聞公告
- 9. 法人格消滅の登記及び官報公告
会社は解散事由がある場合に解散し、かかる解散事由の1つが株主総会における解散決議である。かかる解散決議要件は、定款で加重していない限り、会社の総議決権の4分の3以上を保有する株主が出席し、当該株主総会で行使された議決権総数の4分の3以上の賛成により可決されることが必要である。
株主総会の決議により会社が解散した場合には、原則として株主総会が定款の規定に従って清算人を選任する。清算人は、清算事務について責任を有し、会社自体は清算事務を処理するために必要とされる場合を除いて法的な行為を行うことができない。
清算人は、解散の日から30日以内に、全ての債権者に対して解散を公告し、法務人権大臣に対して解散を通知する。これらの公告・通知を行わない限り、会社の解散は第三者に対して効力を有せず、公告・通知の懈怠により第三者が被った損害については、清算人及び会社が連帯責任を負う。
会社債権者は、解散の公告から60日以内に、清算人に対して債権を申し出る。かかる申出を清算人が拒絶した場合には、当該債権者は拒絶の日から60日以内に裁判所に訴訟を提起することができる。
清算人は、会社の資産及び負債を記録し、作成した資産分配計画を公告する。資産分配計画に異議のある債権者は、公告の後60日以内に、清算人に対して異議を申し出ることができる。清算人がかかる異議を拒否する場合、当該債権者は、拒否された日から60日以内に、裁判所に対して訴訟を提起することができる。
清算人は、資産分配計画に基づき、会社債権者に対して会社債務の弁済を行う。かかる債務弁済の後に残余財産が存在している場合には、株主に対して残余財産を分配する。
清算人は、上記の手続の完了後、清算報告書を作成し、株主総会に提出して、清算に関する職務の完了を報告し、株主総会は清算完了を決議する。
清算人は、株主総会の清算完了決議の後、法務人権大臣に対して、清算手続が終了した旨の通知を行うとともに、清算完了を日刊新聞に公告する。かかる通知及び公告は、株主総会への清算の報告から30日以内に行う。
前記の通知を受けた法務人権大臣は、当該会社の法人格の消滅を登記し、官報に公告する。
以上