イスラエルの主な進出形態(詳細)

令和5年3月更新

イスラエルに事業拠点を設立する場合、主に①会社、②支店、③駐在員事務所の3種類の形態から選択することができます。以下、それぞれの形態について解説します。

1.会社(Subsidiary Company)

第一の選択肢は、イスラエルで日本企業の子会社を設立する方法です。子会社は、非公開有限会社(Private Limited Company)として設立・登記されるのが一般的です。イスラエルの法律では、株主はすべて外国籍であることが可能とされていますので、日本企業は、イスラエルの子会社の100%の株式を保有することができます。子会社の唯一の株主が日本企業であっても、子会社は親会社である日本企業とは別個独立した事業体と見做され、子会社の負債が親会社に及ぶことはありません。1999年イスラエル会社法では、1名以上の取締役を選任することが義務付けられていますが、取締役は必ずしもイスラエル人である必要はありません。

税務上、イスラエルの子会社は、現地に拠点を置く会社として扱われ、現地の会社と同様の免税・優遇措置を受けることができます。

2. 支店(Branch Office)

第二の選択肢は、イスラエルに日本企業の支店を開設する方法です。支店は、原則として本社である日本企業の事業目的に沿ったあらゆる種類の活動を行うことができます。1999年イスラエル会社法によると、支店は、特定の行為や通知の受領等のため、代理人を選任することが義務付けられており、その役割に鑑みれば代理人はイスラエル居住者である必要があります。イスラエルに開設された支店も子会社同様に登記されますが、子会社と異なり、あくまでも日本企業の現地での延長とみなされる点に注意する必要があります。すなわち、イスラエルの支店が行ったすべての活動について本社である日本企業が責任を負わなければならないということです。また、支店名は日本の本社の社名と同一でなければならない点にも注意が必要です。

税務上、イスラエルの支店は、現地での事業活動から発生する利益に対してのみ課税され、イスラエル国外での事業又はそこから派生するものであると判断された支店の利益の一部は課税対象となりません。もっとも、支店は、税務上非居住者と見做されるため、イスラエルの子会社が享受できる免税・優遇措置の対象にはなりません。

3. 駐在員事務所(Representative Office)

第三の選択肢は、イスラエルに駐在員事務所を開設することです。駐在員事務所は、その事業活動をイスラエルにおける市場調査やフィジビリティ・スタディ等に限定され、子会社や支店に認められる収益をともなう事業活動を行うことは認められていません。したがって、駐在員事務所が直接的に取引に従事したり、その契約の当事者になったりすることはできません。また、支店と同様に駐在員事務所が行ったすべての活動について本社である日本企業が責任を負わなければなりません。なお、駐在員事務所は、子会社や支店とは異なり、その開設につき登記をする必要がありません。

4. 最後に

前述の進出形態のうち、駐在員事務所は、日本企業がイスラエルに本格的に進出する前に現地で情報収集・調査を行う場合に用いられる選択肢となります。イスラエルに進出することが決定された後、日本企業は、子会社設立又は支店開設のいずれかを選択することになります。

以上